公開質問状の回答をいただきました。
6月12日に、大阪市会各会派、大阪市長、大阪府知事宛てに公開質問状を提出しました。
→〔6月12日 公開質問状を提出しました〕
質問1:大阪市特別区設置住民投票での外国籍住民の投票権について
「大阪市特別区設置住民投票」は大阪市という都市の形を大きく変えるかどうかを決する住民投票であり、地方自治・住民自治の観点から考えて、外国籍住民も含む形で実施されるべきである と、わたしたちは考えています。しかし、「大阪市特別区設置住民投票」について定めた大都市法では外国籍住民を投票権者として含んでいません。 この点について、どのようにお考えですか。理由もあわせてお答えください。
質問2:今年11月1日の住民投票の実施は延期すべきではないか
2020年5月30日朝日新聞社説は「大阪の都構想 住民と直接対話の場を」と題し、この間のコロナ禍の影響で、住民投票に向けての住民対話プロセスが不十分であることについて問題提起しています。わたしたち「みんじゅう」も大阪市会に対し、今の状況では住民投票実施予定日を延期すべきであるとの陳情をおこないました。かかる状況で従前の予定通り今年11月1日の住民投票を実施されることについて、貴会派のご意見をお聞かせください。
これまでに全ての市会会派および市長知事より回答をいただきましたので紹介いたします。
法定協議会前のお忙しい時期にもかかわらず、私たちの質問に真摯にご回答いただきありがとうございました。
以下に全ての回答を公開いたします。(表示は回答順
【公開質問状回答:大阪維新の会】
質問1:「大阪市特別区設置住民投票での外国籍住民の投票権について」ヘの回答
貴団体の活動に敬意を表しますとともに、昨年貴団体の代表者の皆様方とお会いして意見交換をさせて頂きましたことを先ずはお礼申し上げます。
さて、その際にもお伝えさせて 頂きましたが、私共としては自治体の形を変えるというのは我が国における地方自治制度のあり方に関わる大変重要な判断であると考えています。外国籍の住⺠も共に暮らす住⺠なのだから投票権を得るべきだという貴団体の主張には心情面では理解するものの、私たちの考える大阪都構想は一地域の一政策課題に関する小事ではなく、道府県と政令指定都 市の関係性のあり方、国と地方自治体の関係性のあり方、そして延いては道州制をはじめとした我が国の自治のあり方について今後の議論を加速させるための最初の一歩だと考えております。明治維新以降、平成の大合併を経てもなお大きくはその形を変えてこなかった日本の自治のあり方について、人口減少と超少子高齢社会が同時に到来する我が国において、人がより豊かに安心して暮らせる持続可能な社会をめざすために中央集権国家から地方分権型、地方自立型の国家観への大きな転換を図ろうとする⻑い改革の草分けになるべきも のと考えています。然るに、この地方自治改革については日本国⺠の手によって(先ずは端緒となる大阪市においては大阪に住む日本国⺠の手によって)判断されるべきものと考え ます。
なお、出生やルーツがどこの国であっても、日本国籍を取得し、我が国で一生涯にわたって共に暮らし、日本の土に骨を埋める覚悟の方々にあっては当然に日本国⺠として投票の権利を有するという私共の考えも念のため併せて回答させて頂きます。
質問2:「今年11月1日の住民投票の実施は延期すべきではないか」ヘの回答
大阪市における新型コロナウイルスの感染拡大は収束局面にあり、先ずは市⺠の皆様の多大なご協力に心より感謝申し上げます。また、今なお新型コロナ肺炎と闘病中の方々、そして経済的な影響を受けている多くの方々に心よりお見舞い申し上げます。
その様な中、5 月 11 日に開催された法定協議会においても意見表明させて頂いたように、 私共は新型コロナウイルス等の感染症対策にこそ広域的な意思決定の一元化ときめ細やかな基礎自治体の対応が一層重要と考えています。府⺠・市⺠の皆様の生命と財産を守るため に、府と市の方針が統一できない、または統一するための協議に時間を要するような現在の 仕組みは一刻も早く改めるべきです。この間、大阪は知事と市⻑の人間関係によって一時的に意思統一が図られ、新型コロナウイルスに対して迅速な対策が実施されたことが全国から高い評価を受けています。しかし、今後同じ様な新型感染症の流行、または、いつ起こるとも知れない南海トラフ地震など広域的な災害に対する対応を考える上でも、知事と市⻑の人間関係に依らない制度としての意思決定一元化を出来る限り速やかに実現すべきと考えます。
大阪都構想については既にご承知の様にこれまで 10 年来の議論を積み上げて参りました。また前回の住⺠投票からも既に5 年が経過しており、その間テレビ・新聞をはじめとした報道各社においても、府・市発行の行政広報紙においても、またそれぞれの会派の議員の活動報告紙においても賛成・反対の両論から多くの説明がなされてきたところであります。 加えて、私共としては従前より各議員ごとに座談会や街頭タウンミーティングなどを積み重ねるとともに、新型コロナの流行以降はオンラインタウンミーティングに切り替えるなど住⺠との対話を重ねてきたところです。近年では SNS 等で各議員が発信する一次情報に直接触れることができるなど、市⺠の側から積極的に情報を獲得する機会についても前回 の住⺠投票時に比べて大きく拡大しています。
以上のことを踏まえ、今後なお一層の広報の充実を図り、住⺠投票実施の日まで住⺠の皆様への丁寧な説明を継続することを前提に、大阪都構想の住⺠投票については可能な限り早期に実施すべきものと考え、予定通り 11 月 1 日の実施を目指しています。
【公開質問状回答:日本共産党 】
質問1:「大阪市特別区設置住民投票での外国籍住民の投票権について」ヘの回答
大都市法は、さまざまな意味で欠陥だらけの法律だと考えています。投票権についてもまったく検討された形跡がなく、とにかく法さえつくればいい、という発想のもとにつくられたとしか思えません。
同じ地域で、ともに住み、働き、子を育て、老いていく人たちを、国籍という日々の実態とは何も関係ないもので差別するようなあり方は間違っています。法律をつくった国会が責任をもって改正すべきですし、全国で唯一、この住民投票を行い、また、行おうとしている大阪市が、国に対して法の改正を求める声を上げるべきだと考えます。ともに街をつくる外国籍の方の声さえ聞かないで、「身近な声が届く」制度改革などと言う資格はありません。
質問2:「今年11月1日の住民投票の実施は延期すべきではないか」ヘの回答
日本共産党は、二度目の住民投票そのものに反対ですが、多数をもって再度住民投票を行うとしても、今年の11月1日などと考え、その発信を続けることは許されないと思っています。以下に理由を記します。
①新型コロナ感染症は、現在、拡大がおさまっているとはいえ、集会や宣伝などについては大きな制約が続きます。また、2波、3波への不安や、コロナによる失業、廃業、収入減や生活の変化などなど、市民のくらしや精神状態は厳しいものがあります。大阪市の存廃を考えるどころではないし、内容を周知できるような環境でもありません。
②住民投票の対象となる「協定書案」は新型コロナ以前のものです。コロナ以前の国の経済成長率に基づく、大阪市の収支の動向を前提に財政シミュレーションを行い、「住民サ-ビスの維持に努める」と書き込むとか、大阪府からの配分を10年間は増額させたとか説明しています。けれども、新型コロナの影響で、市税収入は落ち込み、一方で休業補償、生活支援、景気対策で支出は増加し、大阪市の収支は大幅に悪化します。財政当局は、コロナの影響を踏まえた大阪市の中期的な収支の試算はいつ出せるかわかならないとしています。それくらい先行きが見えないのに、コロナ以前の試算で、特別区の財政を説明するなど市民をだますようなものです。コロナの影響を踏まえた財政シミュレーションにもとづいて議論することなしに、住民投票はできないはずです。
③今回の感染拡大のなかで、公衆衛生機能や医療体制がいかに不十分なものであるか明確になりました。2波、3波や、新たな感染症に備えて、大急ぎでそれらを構築しなければなりません。夢洲開発や高速道路など不要不急の大型公共事業や、大阪市廃止の制度いじりなどはストップして、市民の命を守る大阪市づくりに、人・お金・エネルギーを振り向けるべき時です。
④コロナ禍のもと、学校や地域などは、行事や交流をことごとく中止しています。秋に向けて、感染の状況を考慮しながらも、運動会はじめ行事を行い絆を深めようとしています。そんな時に、住民投票で地域を分断するなどひどすぎると思いますし、「11月1日住民投票」をちらつかされて日程調整にも苦慮しておられます。市民を大切に思うなら、「住民投票は当分やらない」と表明するのが当然だと考えます。
【公開質問状回答:大阪市長・大阪府知事 】
(全く同じ文面でしたので、まとめて紹介しますことをご了承ください。)
質問1:「大阪市特別区設置住民投票での外国籍住民の投票権について」ヘの回答
現在、大都市制度 (特別区設置)協議会において、特別区設置協定書の取りまとめに向けた協議 が進 め られているとともに、府市両議会でご議論いただいているところです。
この特別区設置協定書が、府市両議会で承認された場合は、大阪市において特別区の設 置についての住民投票が実施されることになります。
「大都市地域における特別区中設置に関する法律」における住民投票のあり方につきまして は、投票結果が当該自治体に及ぼす影響が大きいことから、外国人地方参政権に係る国や国民の広い議論を踏まえ、国において慎重に検討されるものと考えています。
質問2:「今年11月1日の住民投票の実施は延期すべきではないか」ヘの回答
新型コロナ対策においては、これまでの間、かつてのように府市バラバラでなく、知事と市長が方針を一本化し、「住民の命を守る」ことを最優先に、医療体制の強化や市民の皆さんの生活支援、教育環境の充実などに取り組んでいます。
特別区制度 (いわゆる「大阪都構想」)により、こうした対応が強化されることになると考えています。新型コロナウイルス対策において、大きな役割を果たしている保健所は、今は1つですが、4つの特別区に設置されます。
さらに、感染の収束も見据えた、大阪の再生・成長、住民サービスの充実に向けた長期の視点での将来設計も重要であり、特別区制度 (いわゆる 「大阪都構想」)の実現に向けた取組みを進めていく必要があります。
現在、大都市制度 (特別区設置)協議会において、特別区設置協定書の取りまとめに向けた協議が進められているとともに、府市両議会でご議論いただいているところです。
今後、協議会において協定書を作成し、府市両議会において協定書の議決を受けたのち、 本年秋から冬に住民投票を実施する、とのスケジュールが協議会で示されております。
引き続き、住民の皆さまに丁寧に説明し、特別区制度 (いわゆる「大阪都構想」)の実現に向けた取組みを進めてまいります。
【公開質問状回答: 自民党】
質問1:「大阪市特別区設置住民投票での外国籍住民の投票権について」ヘの回答
まず、自民党は、外国人の地方参政権に対しては否定的な立場です。しかし、この件は、あらためて国において議論すべきものと考えています。
(理由)
大都市法はあくまでも政令市を廃止し、複数の特別区を設置するための手続きを定めただけの法律であるにもかかわらず、大都市法に基づく住民投票には、他の法律とは異なって「法的拘束力」があります。
本来は、国において大都市のあり方についての政策的な議論を経て法律となるべきところ(政策的に、国が責任を持つ法律となっておらず)、政策的な判断と結果責任を住民に負わすような法律となっていることに対してかねてから疑問を感じています。
さらに、代議制民主主義における議員を選ぶ「選挙」とは異なり、地方自治において「住民投票」という直接民主主義によって住民が一つの政策についての判断を「法定拘束力」を持って求められるものであるから、特に大都市法に関しての住民投票における「住民」の定義について様々な意見があることはやむを得ません。
よって、この件については、国会において、大都市法に関する政策的な面、「住民」の定義についてなど、あらためて議論していただく必要があると考えています。
質問2:「今年11月1日の住民投票の実施は延期すべきではないか」ヘの回答
今、住民投票をやるべきではないと考えています。
(理由)
11月1日の住民投票と言われている中、ご指摘の通り、行政側の市民への説明責任が果たされるとは言えない状況にあると考えています。
それ以上に、今、大阪都構想の議論をやっている場合ではないとの思いでいます。
コロナ禍によって大阪都構想の前提も大きく変容してきています。人々の価値観をも変えてしまいかねない、また新たな社会や経済システムが求められる程のものであると思われる。そのような状況下で、これまでの新自由主義的な発想からの大阪都構想の議論を、今、すべきではありません。
今やるべきことは、第二波に備えた感染症対策や経済的打撃を受けている事業者や個人への支援策などの狭義のコロナ対策とともに、アフターコロナを見据えた新たな社会、経済システムに向けた取り組みだと考えています。
少なくとも、今後の日本経済や国と地方の財政にどのような影響が出てくるのか、税収見込みがどうなっていくのか、全く見通しが立たない状況です。それによって、大阪都構想の協定書における制度については、その前提の一つである財政シミュレーションそのものが成り立たなくなる可能性があります。財政シミュレーションを見直すことすらしないことは、市民への説明責任を果たしているとは言えません。
【公開質問状回答:市民とつながる・くらしが第一】
質問1:「大阪市特別区設置住民投票での外国籍住民の投票権について」ヘの回答
2019年12月現在、大阪市内には143の国や地域の外国人住民が居住し、全市民のうちの約5.3パーセントを占め、人口・比率とも政令指定都市の中で最大となっています。外国人住民の方々は、地域の一員として大阪をともにつくる担い手であり、活力あふれる魅力あるまちづくりのためには必要不可欠でこれまで以上に重要です。地方自治、住民自治の観点から考えて、今回の「大阪市特別区設置住民投票」を、外国籍住民を含む形で実施するのは当然であると考えます。
質問2:「今年11月1日の住民投票の実施は延期すべきではないか」ヘの回答
現在、大阪市は緊急事態宣言は解除されたとは言え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の脅威は、未だ払拭されていない状況下にあります。今は一にも二にもコロナ対策を優先するべき時期であり、住民投票は当然延期すべきであると考えます。大阪市を廃止し特別区を設置する住民投票については、住民の皆さんがメリット、デメリットをしっかりと理解し、判断する必要があり、投票に至るプロセスがとても重要です。
しかしながら、現在、感染防止の見地からも、住民の皆さんの理解を深めるための取組が出来ていない状態であります。
また、特別区設置賛否の判断材料の前提となる財政シュミレーションもコロナ禍前の財政状況から算出されたものであり、コロナ禍による経済や税収減などの影響がどのようになるのかが反映されていません。
こうした状況の中では、やはり今は、コロナ対策を優先するべきであり、貴会の主張に賛同いたします。
【公開質問状回答:公明党 】
質問1:「大阪市特別区設置住民投票での外国籍住民の投票権について」ヘの回答
大阪市内には、総人口の約 5%も の外国籍住民が暮らしています。2015年 の特別区設置の住民投票においては、外国籍住民の投票権が認められず、数多くのご意見を頂戴しておりました。
大阪市の将来を決定する重要な住民投票への投票権を認めて欲しいという、外国籍住民の方の思いをしっかり受け止めております。
しかし、特別区設置の住民投票は、国で定められた「大都市法」の規定に基づくものであり、住民投票については公職選挙法を準用 して実施されます。
よって、国において外国籍住民への投票権について検討を進めるべきと考えます。
質問2:「今年11月1日の住民投票の実施は延期すべきではないか」ヘの回答
市民の生命・健康・生活を守るため、新型コロナウイルス感染症対策を全力で取り組むことは非常に重要であり、公明党においても最優先事項です。 それとともに、今後、到来する少子・高齢化社会を見据え、大阪の中長期的な ビジョンを示す特別区設置については、数年にわたり議論を積み上げてきましたので、継続していくべきと考えております。よって、懸念されています新型コロナウイルス感染症の第2波・第3波等の感染症の状況に注視しながら、住民投票を実施していくべきと考えます。