Q:選挙と同じで、外国人が投票できないのは、仕方がないのでは?

わたしたちは、「住民投票」なのだから、ともにこの街に暮らす「住民」として投票できる仕組みであってほしい、と思っています。

いわゆる「外国人参政権」については、さまざまな意見があります。外交や安全保障が含まれる国政に関して外国籍を有する人が参加するかどうかなど、慎重に議論が深められるべきでしょう。
地方自治体は、住民に対して、教育、交通、福祉、環境、医療などのサービスを提供し、そこに暮らす人たちの人間的で文化的な暮らしを営めるようにするための基礎的な単位です。外国人も住民サービスの対象者であることは言うまでもありません。
今回は、大阪という地方自治体で実施される住民投票であり、これからの大阪を考えていくための大切な機会です。

この街は、たくさんの日本人と外国人が、すでに共に暮らしている。だから、みんなの生活にかかわることはみんなで決められるようにしようというのが、今回の「みんなで住民投票!」の趣旨です。

Q:住民としての意思表示をしたいなら、日本国籍を取得すればいいのでは?

日本国籍を取得して投票する、というのも選択肢の1つだと思います。
ですが、わたしたちは、以下の二つの点から、外国籍のままでも投票できる仕組みが必要だと考えています。

まずどのような国籍を選択するのかは個人の人権にかかわる問題であり、国籍を理由として不当な扱いがされてはいけないという点です。
実際に日本でも1970年代までは、年金や健康保険、公営住宅入居などで国籍条項があり、外国人はその対象から除外されていました。今では、それは差別であり人権侵害であるとして許されるものではない、という認識が社会で確立しています。
国籍による権利の制限をどのように考えるかは、時代とともに議論が重ねられてきています。「嫌なら日本国籍を取ればいい」と断じるのではなく、国籍による不当な差別か、合理的な制限か、ていねいに考えることが必要ではないでしょうか。

もうひとつが、これから外国籍市民が増えるなかで、まちづくりをどう考えるかという点です。
少子高齢が進み、働き手としての外国人の受け入れや成長戦略としてのインバウンドの受け入れを国全体としても進めており、日本の外国人人口は270万人以上となっています。とくに大阪では人口の5%を外国人が占めており、多様な人たちが大阪の活力の一端を担っています。
こうした現実をふまえ、外国籍を持つ人たちといっしょに、どうやって多様性と活力にあふれた大阪をつくっていくのか。今回の住民投票をきっかけにして、日本の人たち、外国籍を持つ人たちが、ともにこれからの大阪の豊かさを創っていくような、住民としてのつながりを広げていければと思います。

(※国籍を取得することを「帰化する」と表現される場合もありますが、「帰化」には「君主の徳に服従する」という意味もあるため、より中立的な「日本国籍取得」という言葉を使用しています。)

Q:外国人の投票を認めれば、日本の社会がのっとられてしまう、という意見をきいたのですが…

この「みんじゅう」の取り組みでは、「永住者など一定の条件を満たす外国籍市民」の投票権を求めています。

いまの日本の入管政策のもとで永住資格を有しているのは、日本人と婚姻関係にあるか日本人と血縁関係がある人、また一定の経済基盤を有して10年以上日本で暮らしている人たちです。つまり、すでに地域でともに暮らしている人たちであり、これから日本の人たちとともに自分たちの未来を創っていきたいと考えている人たちだと言えるのではないでしょうか。今回の住民投票にそうした人たちが参加することは大阪の未来にとって決して否定的なことではないと考えています。

外国人に政治的な意思決定権である投票を認めると、特定の国の意向をうけて、多数の人が送り込まれるなどして、日本社会が脅威にさらされるのでは、との懸念が語られることがあります。もし、「のっとる」ことができるくらいの人数が日本に定住し、永住権を獲得する、ということがおきるとしても、数年でできることではなく、かなりの時間がかかるでしょう。投票を認めたら、即、のっとられる、というような発想は現実的ではありません。
住民として暮らしているにもかかわらず、日々の生活に影響をおよぼすことについて意思表示する権利が与えられない状態の方が、「いっしょにこのまちをつくっている」という当事者性を損ない、社会の不安定さにつながるのではないか、ともいえます。

わたしたちは、「外国人に開くことが未来の脅威になる」というよりも、「外国人に開くことが新しい未来の可能性を創り出す」という思いで、取り組んでいます。

Q:日本で外国籍市民の住民投票が認められた例はあるの?

すでに、たくさんの自治体で外国籍市民の住民投票が認められています。

2002年、米原町(当時)が住民投票条例を制定したのが最初です。
「永住外国人も納税、保険料納付などの義務を負うとともに、自治体から行政サービスを受ける権利を平等に有している」「全住民に関わる重要な問題(※ここでは合併問題)に永住外国人の参加は当然」と理由を説明しています。
この時期、「平成の大合併」といわれた市町村の合併をめぐり、各地で住民投票が行われました。米原市の条例制定から2年半の間に約150の自治体が永住外国人に投票権をみとめる住民投票条例を制定しています。
その後、千葉県我孫子市など、常設型住民投票条例で外国籍市民の投票を認める自治体もでてきています。
なお、住民投票には、投票結果に法的拘束力のない諮問型と、法的拘束力のある拘束型の2種類があります。これまでに外国籍市民の投票が認められたものは諮問型住民投票なので、「大阪市特別区設置住民投票」で外国籍市民の投票が認められれば、拘束型の住民投票としては初となります。

Q:みんじゅうって、「都構想」については、どう考えているの?

みんじゅうは、いわゆる「都構想」(政令市である大阪市を廃止し、特別区を設置する行政案)については、その賛否を問わず活動をしています。

私たちは、大阪の未来を決める大切な意思表示の機会である住民投票に、「外国籍だから」という理由で参加できない人がいることに疑問を持ち、住民投票の根拠である大都市法(令)の改正を国会に求めるために集まっている市民有志です。
いわゆる「都構想」への賛否にかかわらず、「特別区設置住民投票に、外国籍住民の方も同じ住民として投票に参加する」、このことに賛同して頂ける方は、是非この活動に加わって欲しいと願っています。


※呼びかけ人や、賛同人は、「みんなで住民投票」の活動の趣旨をふまえて、呼びかけ・賛同をしています。呼びかけ・賛同にあたっての思いは、人それぞれです。
このQ&Aは、呼びかけ人・賛同人の「統一見解」ではなく、現時点での会としての基本的な考え方です。
疑問や違和感などには広く耳を傾け、考えを深めながら、必要に応じて、随時、加筆修正を行う方針です。