声明文を公開しました。

2019年11月20日の市会への陳情に際して、「みんなで住民投票! 声明文」を採択し読み上げました。ここに掲載します。

このまちに住むみんなが参加できる住民投票を

わたしたちは、このまちに一緒に生きる仲間として、
外国籍のみんなも住民投票できるようにすることをもとめます。

大阪市には、139の国や地域を出身とする137,467人の外国籍住民が暮らしています。これは、全市民の約5.1%であり、人口・比率とも政令指定都市の中で最多となっています。旅行者のような「お客さん」としてではなく、身近な暮らしの中で、例えば学校で机を並べ、ご近所さんで地域活動もするのが、大阪市民のライフスタイルです。国際結婚により異なるルーツを持つ家族も増えています。外国籍住民は、すでにともに生き、これからもこのまちをつくる仲間です。

いま、これからの大阪のまちをどうするかについて、大きな議論が行われています。政令指定都市大阪市を廃止し、東京都のような特別区を設置する、いわゆる「都構想」の是非についてです。すでに2015年には住民投票が行われ、僅差で否決されましたが、他の選挙よりも高い投票率約67%となり、市民の関心の高さをうかがわせました。
けれども、この住民投票に、外国籍住民は参加することができませんでした。2012年に成立した「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(以下「大都市法」)が投票人について公職選挙法を「準用」するとし、「大都市地域における特別区の設置に関する法律施行令」(以下大都市令)が、「投票には公職選挙法に規定する選挙人名簿を用いる」としたためです。
しかし、2015年当時、ほとんどの市民が、外国籍住民が住民投票に参加できないことを知りませんでした。住民投票だから、住民みんなが投票できる、そんな漠然とした思いこみがあったと思います。

総人口の5%に達する住民を投票人から除外する、これが果たしてほんとうの民主主義なのだろうか? もう一度住民投票するなら、今度こそ、ともに暮らす大切な仲間と、心おきなく大阪の未来をめぐる議論をしたい。だれも取り残すことなく、このまちの一人ひとり、すべての住民の意思が反映される住民投票にしてほしい。そんな思いの仲間が集まり、「みんなで住民投票!」(略称:みんじゅう)の活動はスタートしました。
みんじゅうは、「大阪市を廃止し特別区を設置する住民投票」に外国籍住民も投票できるよう求めています。その実現のために、大都市法第7条と大都市令第4条の改正を求める署名活動をし、大阪市会や国会での請願をめざしました。そして党派をこえて、議員へのはたらきかけをすすめてきました。
また、外国籍住民が投票できないという現状を知ってもらうため、ホームページやSNSでの発信、街頭行動やオープンミーティング等、イベント開催などにも取り組みました。その原動力は「マイノリティのおかれている状況は、実はマジョリティも当事者である」という問題意識でした。

みんじゅうのあげた声に、幅広い層から共感がよせられ、たくさんの方々が呼びかけ人・賛同人となり、メッセージをよせてくださいました。
街頭でアピールしたり、友人知人に署名のお願いしたりしたときには、「外国籍住民が住民投票できないなんて知らなかった」という声を何度も聞きました。大阪市にとどまらず、全国から続々と署名が届きました。
今回、大阪市会に提出する署名は1509名分、一から立ち上げた市民グループがわずか1か月で集めたものであることを考えれば、十分とはいえないまでも少なくない数だと言えると思います。

当初、大阪市会へ請願提出を目指していました。大阪市会の第一会派である「大阪維新の会」をはじめとして請願を最初に審査する財政総務委員を中心に各会派の議員との面談を重ねた結果、請願を陳情にかえる苦渋の決断をしました。大阪市長には要望書を提出しました。「大阪市を廃止し特別区を設置する住民投票」については、制度内容や、結果が出た後のことに注目が集まりがちです。大切な、まちの未来に関する意思表示のための住民投票だからこそ、そのプロセスが適切であることも重要です。
すでに外国籍住民の住民投票への参加を認め、実施した地方自治体も数多くあります。もし今回、大阪市が「大阪市を廃止し特別区を設置する住民投票」において外国籍住民の投票を認めれば、拘束型の住民投票としては全国初となります。
歴史的な面からも、人口比率からも、外国籍住民とともに暮らし、共生のまちづくりに取り組んできた「国際人権都市」大阪市にふさわしい議論を行い、国へ働きかけて頂きたい。
大阪市会および大阪市長には、この陳情を真摯に受け止めていただくことを期待します。

近年、関心が高まっているSDGs(持続可能な開発目標)における原則の1つは、「誰ひとり取り残さない( No one will be left behind. )」です。
マイノリティである外国籍住民が意思決定に参加できない状況をつくっているのは、マジョリティである日本人です。みんじゅうが外国籍住民の住民投票権を求めるのは、外国籍住民のためだけではありません。このまちに暮らす人みんなが参加できる住民投票を実現し、誰ひとり取り残させない社会をわたしたちは目指します。

2019年11月20日        
みんなで住民投票!一同

みんなで住民投票!声明文 2019年11月20日

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