外国人市民873人からアンケート回答
みんじゅうでは、9/26から11/1まで約1か月間、住民投票に参加できない大阪市在住の外国人市民に対してアンケートを実施しました。(⇒ http://minnadetohyo.info/survey/)
40か国、873人の大阪市在住外国人より回答をいただき、市外在住者も含めると、総数1125人にご協力いただきました。
出身国については、大阪市在住外国人の状況を反映し、また年齢分布にも偏りはありませんでした。
アンケートを集めたところ、気をつけたこと
アンケートは日本語、やさしい日本語、英語、中国語、ベトナム語、ハングルの5言語、6種類を準備し、これまでのみんじゅうの活動を応援して下さったつながりを中心に呼びかけたほか、外国人コミュニティや教会、日本語教室、国際交流協会など、外国人と関係の深い団体に協力を呼びかけました。
また、市内にある各国料理店や食材店、イベントなどを訪れたり、街頭でアンケートへの協力を呼びかけました。
いちばん気をつけた点として、みんじゅうは「大阪市廃止・特別区設置」の賛否に関わらず、外国人市民が投票に参加できるよう活動をしており、アンケート結果にバイアスがかからないよう、「大阪市廃止・特別区設置」への賛否を示したイベントでは呼びかけず、街頭でも近くでアンケート回収をしないよう、配慮して行いました。
アンケート結果:90%以上の外国人市民が投票を要望
住民投票があることを知っているか (市民)
- 知っている 75.26%
- 知らない 24.51%
- 回答なし 0.23%
住民投票については外国人市民の75%が知っていると回答、関心がもたれていることがわかりました。ただし日本語話者とそれ以外の言語を使う人では大きく割合が異なり、日本語以外の言語の人は約4割が住民投票を知らないと答えています。住民投票があるという基本的な事実ですら、言葉の問題によってその理解に大きな差ができていることがわかりました。
外国人市民が投票できないことについてどう思うか (市民)
- 投票できるようにするべき 90.03%
- 投票できなくてもいい 7.56%
- 回答なし 2.41%
90%の人が外国人が投票できるようにすべきと回答。その理由としては、「納税の義務を果たしている」「住民としての当然の権利」「生活に直結する問題に参加したい」「住みよい都市にするために共に考えたい」などがありました。 一方、そうすべきではないと回答した人は「日本人ではないから」「関心がない」「日本の政治に詳しくない」などの意見が見られました。
大阪市廃止・特別区設置の賛否 (市民)
- 賛成 16.38%
- 反対 45.70%
- わからない 37.57%
- 回答なし 0.35%
僅差となった住民投票の結果と同様に、外国人市民も「改革は必要である」「二重行政を解消すべき」などの賛成意見、「住民サービスが低下する」「大阪市がなくなることが不安」「どう変わるかわからない」という反対意見の双方が見られました。
また4割近い人が「わからない」と回答しています。年代別で見ると、とくに若い世代で「わからない」が多い傾向がわかります。
そもそも今回、選択肢に「わからない」を含めたのは、大阪「都構想」と住民投票に関して外国人市民に向けた多言語の情報提供が全く行われていないため、判断できない外国人市民が多いのではないかと考えたからでした。
この結果は賛否の割合よりも、83%の外国人がよくわからず不安な状況のなかで、反対またはわからないという評価を持ったということではないでしょうか。
ともに生きる外国人市民の社会参画に向けて
これらの結果より、外国人市民も住民投票に対して、またそれに意見表明することに対して、積極的であることがわかりました。
とくに、外国人市民が参加できないことについては、90%以上が投票できるようにすべきであると考えていることは、今回の住民投票にとどまらず、外国人市民の社会参画についてどう考えていくべきか、重要な課題を投げかけています。外国人市民の参画を考えるとき、多言語での情報提供、行政・地域で対応できる体制、それを進めていくための地域での日本市民と外国人市民の協働の仕組みづくりなどが求められてくるでしょう。
地域に積極的に参加したいと考えている外国人に十分な情報提供と参加できる環境を提供することは、より多様性に富んだ、豊かな地域社会の将来展望につながる、と私たちみんじゅうは考えています。
VOICE
アンケートに寄せられた外国人市民の声
※アンケート回答者 1125名(市民 873名・市民以外 252名)の回答からコメントを分類。 コメントのカッコ内は国籍や出身地域・年代。
I. 外国人も投票できるようにするべきだ
1 税金を払っているから(83名)
- 日本人と同じように働いて税金を払っているから(韓国、30~39)
- 同じように税金を払っているのに投票できないのはおかしい(韓国、18~29)
- 税金を払っているから(USA 18~29)
- 納税の義務を果たしているのに、参政権を与えないのは差別だと思う。(韓国、30~39)
- 地域住民として参加したい。住民税払っているのに。よりよい大阪を目指したい。(韓国、60~69)
- 納税する永住者には投票権を保障すべきだ。(ブラジル、30~39)
2 住民だから(112名)
- 20 年以上いる。子供も日本で生まれている。わたしたちもいろいろ参加したい。ここで生きて いきたい。(スリランカ、40~49)
- 全ての大阪市住民は、住んでいる都市について意見を言えるべきだ。(USA、18~29)
- 同じところに住んでいるのだから当然。(韓国、40~49)
- 長らく大阪市内に居住している外国人が投票できないのは納得できない。外国人も住民だ!(韓国、40~49)
- 法律に影響を受ける誰もが、どんな法律が施行されるかについて発言権を持つべきだ。(USA、30~39)
- 永住者は、その生活に影響を与える地方政治に対し、影響を行使できるようすべきです。 投票は、投票権を認める自治体に住むか、日本国籍にすることによってのみ可能。(フィンランド、30~39)
- 長く住んでるから(トルコ)
3 権利だから声を聞くべき (91名)
- 我々はここに住み、法の影響も受けているので、発言権を持つべきである。税金も払っている。(USA、18~29)
- 永住者には投票権があるべきだ。(ウガンダ、30~39)
- 平等であるべき。(韓国、18~29)
- 日本人も外国人も関係ないし。いい加減こんな差別的なことはやめるべきと思います。(韓国、40~49)
- すべての人の意見を反映させてこその住民投票だと思うから。(韓国、18~29)
- 基本的人権。(韓国、60~69)
- さべつ。(ペルー、18~29)
- 大阪に住んでるからほかの方々と同じように意見を述べる権利があります。あたりまえです。 (スペイン、70<)
- 民主主義とは自分たちが所属する社会の問題は自分たちが意見を出し合って決めるのが一番い いという理念。大阪市に住む私が大阪市の住民投票に参加できないのは反民主的。(韓国、60~69)
- 生活に直結する問題を選択権も与えずに、投票結果に従えというやり方に強い違和感を感じる からである。(韓国、50~59)
- ここに 70 年以上住んでいるのにその権利もない。(韓国、70<)
4 愛する大阪 ともにつくりたい!(12名)
- 大阪を住みよい都市にするため共に考えたい。(韓国、70<)
- 大阪に愛着があるから。(韓国、70<)
- 日本では私は大阪という都市が最も好きだ。(中国、30~39)
- 都市を作るものに国籍は関係ないです。その都市を思う気持ちは、国籍関係ないです。(韓国、50~59)
5 歴史的背景から(5名)
- 市長の日本国籍取得発言はその人の出生を否定することであり、市に住んでいても除外され、 存在しないものとしている。多文化共生社会を目指すものではない。大阪には外国人が住んだ経緯、歴史がある。地名にもその歴史が刻まれている。(韓国、40~49)
- 「いやなら国へ帰れ」や歴史的背景を無視して「日本国籍を取ればよい」などの発言には人間性 を疑うし、憤りを感じる。(韓国、50~59)
- 私は二世ですが、一世たちは日本に居住して 100 年になります。考えてください。(韓国、70<)
6 グローバルの観点から(7名)
- グローバル社会を担う大阪という街は今後さらなる飛躍を遂げるには、地域に一定期間定住し ている者には住民投票権を与える必要がある。(韓国、30~39)
- ヨーロッパでは、選択と投票はすべての住民の権利である。(パキスタン、30~39)
- 諸外国の場合、一定の条件を満たす外国人に地方参政権を保障している。(韓国、30~39)
- 市民権は外国人にも必要。これからは多民族共生を望み、目指すなら。日本民族にこだわるのはおかしい。(韓国、70<)
7 貢献しているから(3名)
- 我々はここに住み、高い教育水準で社会に貢献し、税金を支払っているから。(USA,30~ 39)
- そういう変更(大阪市を廃止し特別区設置)は、今の大阪独特の感性を薄めるのではないかと心配になる。社会貢献するすべての人に発言権が保障されるべきだ。(オーストラリア、30~39)
Ⅱ. そのほか意見や心配なこと
1 参政権に関わるもの、投票から排除されたときの気持ち(28名)
- 都構想の前に外国籍住民に投票権を与えるのが先ではないか。人権を尊重してほしい。松井市長の日本国籍を取得してから、の言葉には失望しました。(韓国、60~69)
- 周りの親しい日本の方たちが在日韓国人が選挙権が無いのはおかしいと、私が話すまでは在日 の人もあると思っていたと。税金も払って、自分たちと一緒やのにね、と。(韓国、70<)
- 同級生には選挙権があるのに、すごく下に置かれた気持ち。いくらまじめに生きてても大阪では認めてもらえない。むなしい。(韓国、18~29)
- 選挙のたびに住民としての権利がないことに落胆させられます。(韓国、30~39)
2 生活に関する不安(26名)
1)教育
- 教育関係が心配だ。(韓国、60~69))
- 子供の学校のことが心配。仕事を選べない。(ガーナ、40~49)
2)仕事
- 仕事心配。(中国、40~49)
3)財政
- 財政面が心配だ。特に教育関係。(韓国、40~49)
4)福祉、障がい者
- 障がい者にしっかりとしたサービスを!(韓国、40~49)
5)インフラ
- ダムの上の橋、老朽化している。それをどう考えているのかな。(中国、60~69)
6)警察
- 警察法を改正し、外国人も同じ人間であること分からせてほしい。(パキスタン、30~39)
7)人種差別
- 日本人は黒人を怖がっている。(ナイジェリア、18~29)
8)不安定
- 外国人労働者に対する職場でのいじめや不法行為。特に新しく来た住民に対して。(USA、30~39)
9)住みやすい政治
- 私たちの住みやすい政治をお願いします。(韓国、60~69)
10)日本語
- コミュニケーションについて、日本語ができないとコミュニケーションが困難だ。(フィリピン、40~49)
11)ごみ
- 清潔な街になるようがんばりましょう。(韓国、50~59)
3 外国人住民の人権について(19名)
- このまま外国人住民の権利が無いまま生きていくことに不安を感じています。(韓国、30~39)
- 他国の事例(永住外国人勤労者など)を、基本に投票権について強く主張していかなければならないと思う。(韓国、30~39)
- 住民投票から外国人を外してしまうことによって、今後、外国人を除くということが、あらゆる場面で増えていってしまう可能性を含むのではないかと心配です。(韓国、50~59)
4 都構想に関する意見(74名)
1)サービス低下(17名)
- 今、利用している制度が変わらず利用できるのか不安。(韓国、40~49)
- お役所仕事は融通がきかず、ほとんどの人が忙しく多くのサービスをしているので。(ネパール、30~39)
- その効果(経済的、サービスなど)が疑問(韓国、60~69)
2)メリット・デメリット説明不足(16名)
- メリット・デメリットを公平に住民に伝えるべきである。(韓国、30~39)
- 改革は必要だと思います。しかし間違っていれば戻ることが大事。間違っていれば分析して正しい方向に進むべき。時間をかけてよい。(韓国、40~49)
- 住民に対しての十分な説明もない中で決めるのには、今後の行動に対しても信用ならない。(韓国、50~59)
3)都構想賛成(14名)
- 改革はいつでも必要です。(韓国、60~69)
- 二重行政だったら改革するといいと思います。(韓国、70<)
- 税金や不正行為がとても気になる。 行政府は小さいほうがいい。(カナダ、50~59)
4)都構想反対(17名)
- 財政面で疑問が多い。大阪維新の知事、市長のトップダウンを、なんでも民営化に不信感を持 っている。(韓国、70<)
- 特別区設置に伴う経費が 10 年以上市財政を圧迫する恐れがあるということで反対する。(韓国、 70<)
- 二重行政をなくそうとするなら、現状から改革すればよい。莫大な予算を使って、市民にとっ てなんの得にもならない。(韓国、60~69)
5)大阪市をなくすことが不安(8名)
- 現状の改善で十分である。(韓国、60~69)
- 後戻りできないのが心配です。(韓国、70<)
- なるべく大阪市をなくさないように。(韓国、70<)
6)コロナ(2名)
- コロナ禍の中での住民投票の強行は、弱い立場の者のことを考えておらず、納得できない。(韓国、50~59)
- 都構想よりコロナ対策と市民の暮らしを。(中国、40~49)
5 日本は素晴らしい(2名)
- 私はこの国にいて幸せに思う。(ネパール、30~39)
- 日本は自由だ。(トルコ、年代記入なし)
6 新たな差別(3名)
- すべての外国人と言うことではありません。(韓国、40~49)
- 中国人、韓国人、日本人、アジアの中心として活動してほしい。外国人の支配から脱してほしい。